コラム
髪のつやをあやつる事はお菓子作りに似ている
髪の構造と視覚に分けて解説します。
構造的側面
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物理的な構造はガラスの多重層
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キューティクルは透明のガラスのような物質で、うろこ状に幾層にも重なりながら髪の毛の毛皮質を覆っている。(上図では黒っぽく描いているが、実際は薄い透明な被膜である)
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ガラスの奥には色素細胞を含むコルテックスがある(上図では明るいベージュで描いているが実際にはアジア系・アフリカ系人種では黒色に近い)
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毛皮質をキャンディーコーティング
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健康な毛皮質を乾燥や紫外線から守り、さらに外部との接触摩擦からの影響もうろこ状のキューティクルが軽減している。
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親和性の高いトリートメントを施された毛表皮は、まさにキャンディーでコーティングした様な状態になる。
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視覚的側面
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注釈 ・・・ここではつやのある状態を “つや髪” と呼び、つやのない髪を “マットヘア” と呼ばせていただく
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視覚的影響:1 色彩
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視覚的な違い、“つや髪” は彩度が高く “マットヘア” は彩度が低い
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明度が高いほど“つや髪” はコントラストが深く、明度の低い “マットヘア” はフラットに見える。
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視覚的影響:2 遠近感
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コントラスト(メリハリの度合い)の違いによる立体感の違いが表れる。
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環境明度が高いほど、“つや髪” は奥行きのある立体感が現れるが“マットヘア” では、奥行きの浅い平面的な造形になる。
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塗りの器と素焼きの器を並べて見比べるとよくわかる。
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髪のつやはなぜ失われるのか
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- 体調の変化 (食生活、過度なストレス、生理的変化)
- 加齢による細胞の老化
- 化学的損傷(過度なパーマ、カラーリングや加温など、薬剤による化学的損傷)
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ここで注意しておきたいのは、『トリートメント効果』をうたったスタイリング剤の存在だ。 別コーナーでも解説するが、恒常的に鉱物由来の物質 (おもにシリコンなど) の浸透を施された毛皮質では、細胞の活力に問題が生じる場合がある。 (これは肌の表面にもみられる。)
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メラニンの過剰反応や皮膚炎などがその例である。毛皮質細胞の損傷が原因でキューティクルの隔離(または剥離)が進み、コーティングの効果が損なわれることが分かっている。
つやを得るために使ったはずのある種のオイルは、知らず知らずのうちに髪や肌に負担をかけていたことになる。
(鉱物由来のシリコン系オイル・ポリマー系の成分)コーティングできなくなった毛皮質からはツヤがなくなり、やがてパーマやカラーリングの薬剤がストレートに毛皮質に達し過剰な反応をおこし傷みやすい髪にかえてしまう。
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“つや髪” の物理的な条件
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毛表皮 (キューティクル) が整った状態であること
ねじれ度合いが少なく均一であること
毛髪の弾力が根元付近も毛先もほぼ均一であること
鉱物由来オイル (シリコンなど) の浸透がないこと
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“つや髪” 作りの対象と方法
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毛表皮の処理方法
- 弱酸性のトリートメント(またはリンス)でキューティクルを引き締める。
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表面をキャンディーコーティングする
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- ねじれの矯正
- 適度な打撃を与えることでコルテックスを柔らかく整える
- (来店時にお問い合わせください)
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- 弾力のコントロール
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今後の作成予定
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波打つガラス (準備中)
髪が魔力を使うとき (準備中)
ある化粧品製造メーカーの過ち (準備中)
『黒髪を纏う(まとう)』(コラムにて)
黒髪のつやと気品を手に入れる (準備中)
手入れの行届いた最高の装飾品 (コラムにて)
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